心理学のお勉強

心理測定法

社会的態度


態度とはいったい何か。これを定義するのはとんでもなく難しいですが、少なくても心理測定の世界、特に社会的態度の測定の世界では、入試とか、宗教とか、性差別とか、そういういろいろな社会的事象に対する認知、評価、意見のことを指します。

しばしば情緒反応を伴うし、それに、対象が変われば態度も変わります。とはいえ、共通する傾向も認識できるので、非常に難しいものです。ここでは個人差測定に有用なものをご紹介しましょう。

まず、賛成、反対をとるための方法として、サーストン法があります

サーストン法では、1次元の態度尺度の上に、それぞれのレベルに合ういくつかの意見項目が散らばってると仮定します。その上で、潜在特性の値が大きければ、その項目に賛成する割合が高くなり、とはいえ、一定程度を超えると逆に低くなると仮定します(例えば、試験の得点とか能力は、潜在特性の値が大きければ大きいほど、答えが当たりな確率が高くなります。こうではありません)。

多くの意見項目で尺度値を集め、それを各被験者が賛成した項目の組によって、被験者の値を決めるやり方をします。

実際には調べたいテーマを決め、決めたら意見項目を集めます。意見は100人くらいから集めます。このときえてしてど真ん中、つまり中立的な意見は少ないことが多いので、そこは注意が必要です。

集めた項目は似たもの同士を整理し、的確で単純な表現に置き換えます。文章的に2つの意味があったり、極端な意見、知識が必要な意見はこの段階で除きます。

この上で無作為標本(サンプル集団とか母集団というやつ)から100人くらい被験者を選び、集めた項目をカテゴリー別に分けさせます。このとき、7、9、11のように奇数段階に分けさせると、中立的な項目を真ん中に置くことができます。

カテゴリー別に分けさせる

続いて分けられた項目に尺度値を与えます。項目の分布が真ん中を中心に左右対称なら平均値を、どちらかに偏りがある場合は中間値(メディアン)とします。

最後に、被験者の尺度値を決めます。例えば、被験者が5つの項目に賛成だった場合、その5つの平均かメディアンを尺度値とします。平均かメディアンかは項目に尺度値を与えたときと同じ基準で判断します。ただ、数多くの項目に賛成すると尺度値は平均、つまり中立へと近づいていくので、そうならないよう賛成項目を限定することがあります。

ずらずら書いてきましたが、全然わからないでしょうから、具体的にいきましょう。ここでは、お酒やタバコを取るべきがどうかについて質問することとします。

まずは意見をいろんな人から集めます。あればあるほどいいわけですが、そのとき、似た者同士はまとめ、極端なものは省き、わかりやすくするよう心がけます。

今度はその集まった意見に賛成かどうか被験者に聞きます。このとき奇数段階に分ければ、真ん中に中立的な意見がよるってなことは、先ほど書きました。

これが終わったら、まず意見に値を与えます。これで尺度が出来上がります。その後、被験者の尺度値を決めることで、その被験者の尺度上の相対的位置がわかる、というこういう寸法ですね。

図で書くとこんな感じ。

お酒やタバコを取るべきがどうかについて質問します。

1. お酒もタバコもやるべきではない。
2. 適度ならかまわない
3. 率先してやるべきである

被験者の位置

この方法は「賛成か反対か」というやり方のときですが、その賛成か反対かが5段階とかになってる場合もあります。例えば、こんなの。

次の意見に対して、大いに賛成なら5、やや賛成なら4、どちらでもなければ3、やや反対なら2、絶対反対なら1を選んでください。

このような設問は、先ほどのでは分析できません。そのとき使うのがリッカート法で、カテゴリーの尺度を推定する方法です。

賛成から反対までは5ないし7段階のカテゴリーによって評定します。各カテゴリーに与えられる数値はそのカテゴリーの代表値で、それぞれの項目の潜在次元は共通していると考えます。このとき、その特性が高ければ高いほど賛成する確率が高くなる場合と、その反対の場合、そして単調な場合が考えられます。

代表値の平均を取る方法としてはシグマ値法があります。これは平均0、標準偏差を1とする標準正規分布をまず考え、それが以下の図のようになることを元に考えます。

標準正規分布

このときカテゴリーkの代表値は、

カテゴリーkの代表値

となり、

また、被験者iが項目jにおいてk番目のカテゴリーに反応したとすれば、

項目反応値

になるというのが、シグマ値法です。

ま、ややこしいので、単純に5段階評価なら1, 2, 3, 4, 5、7段階なら1, 2, 3, 4, 5, 6, 7と振ればいいです

どういう場合であれ、質問が同じ質なのかどうかはしっかり調べなければなりません。この上で項目を選択するからです。このとき、主因子解などを用います。主因子とはたくさんのばらつきを説明できる因子のことで、この辺の具体的な話は因子分析のところでやりますが、因子負荷量が高ければ主要因子との適合性は高く、そうでなければ全然違うものを調べているということだけ押さえておいてください(意味不明だろうけど)。

また、GP(Good-Poor)分析もよく使います。これはテストの合計得点の上と下30パーセントくらいずつを比較するもので、例えば、算数のテストなんか作るとき、これで測定したい能力が測れているかどうか調べたりします。

また、尺度が多次元、たとえば堅そうな職業といえば?なんてときに、いろいろな職業の名前が浮かんでくる場合があります。

具体的には多次元尺度法の回に譲りますが、テストの作り方が「データ収集→因子分析→斜交回転(因子間に相関があってはダメなときは直交回転)→理論的検討。ダメならデータ収集からやり直し→項目を分類→尺度を構成」と1次元のときと少し異なることは押さえておいてください。

ということで、いきなり難しくなってしまいましたが、今後もお付き合いくださいませ。