cafe de psyche

ワールドカップの心理学的考察(2002年7月)


私はあまりサッカーとか興味ない(ただ、原始的なスポーツだなあといろんな意味で感心はするけど)ので見なかったワールドカップですが、終わったことだし、心理学でばったばったと切ってみようと思います

(1) 日本人の同調性の高さはすごい。
Jリーグにはほとんど興味を持っていないというのに、ワールドカップで62%近くの視聴率が取れて、これでようやくサッカーも認知されたか?なんて思っている人もいるようですが、それは多分違います。周りが盛り上がってるから乗ってる、という同調派が多かったのでは。

日本人の同調性の高さは実験なんかしなくても、日常ですぐにわかります。あなたの周りでみんなしょうゆラーメン頼んでて、あなたが最後に注文する番。そこで「みそラーメン!」って大声で言えますか?(このシチュエーションは、所ジョージさんが黒澤明監督の映画に出られたとき、休憩中に実際にあったことを基にしていて、私はよくこれを同調の説明に使います(^^;))。

(2) バンドワゴン・アピールはやはり効果的。
バンドワゴン・アピールとは、場を盛り上げるために拍手をしたり、煽ったりすることです。古くはちんどん屋のようなものが典型的なバンドワゴン・アピールといえるでしょうし、こうやってここの字が赤いのも、ある意味バンドワゴン・アピールです。今回、試合中の選手には迷惑だろうけど、ウェーブとかよくありました。これのおかげで、見ず知らずの人と仲良くなれたり、自分も周りも一体な感じになったのではないでしょうか。

(3) ただ、バイスタンダー・エフェクトもかなり見られた。
バイスタンダー・エフェクトとは、冷淡な傍観者になること。つまり、周りがはしゃいでるのを知っていて、それを止めない、見て見ぬふりをする「一般人」が多くいた気がします。特に都心部では。

つうか、私自身も山手線の車内でそうだったよ(^^;) どう対応していいんだかわからないんだよね。

(4) 異文化コミュニケーションには役に立ったか?
ぜんぜんそう思いません。逆に言うと報道などは日本人としての自我に迫った気がします。ワイドショーはセンセーショナルに扱ったし、エンターテインメント性が重視されていたといえます。まあ、普通はそれでいいんだけど。

(5) 感情の表出は惜しみなく見られた。
日本人には珍しいことです。これができただけで、座布団10枚あげられます。これが続けば、さらに10枚です。

雨でびっしょびしょになりながらも、電車の中で友達に敗戦報告のメールを打ってた女の子のことをふと思い出しました。これができるって、意外とすごいことです。そんな人がそこここにいたんです。

(6) 印象の問題。
ラジオではほぼ全局横並びで同じコンテンツを放送していました。これはネガティブに働いたかもしれない。こういう中で、別なコンテンツを作り出せたところは、もしかしたら別な意味で勝ったかもしれません。

あと、テレビ画面の印象としては、提供クレジットのデザインだったり、試合中にたまに入る途中経過などの画面デザイン(Mac OS XのAquaインタフェース風)は認知的に考えてよかったと思います。

てことで、どの世界でもこんな分析している人はいないでしょうが、私なりに切ってみました。

まあ、エンターテインメントとして盛り上がったなら、いろいろあったけどそれでオーケーだったのでは、というのが最終的な感想でございます。