cafe de psyche

幻の振動(08年9月)


リクルートが毎週木曜日に発行しているフリーペーパー「R25」で「幻想振動症候群」なるものが取り上げられていました。元はUSATODAYに載った記事のようで、Diggってみたら、かなり盛り上がっていたりした。なんでも、ポケットに入れた携帯電話のバイブが震えたような気がしてしまう、というもののようです。

確かに、そんなような経験は誰にでもあるので、記事もそぞろに調べてみたところ、2005年3月のコロンビア大学のニュースに"Who's calling? Is it your leg or your cell phone?"というのを発見。読んでみたのでした。

記事中では"phantom cell phone vibrations(PCV)"と呼ばれているそれが、R25の取り上げているそれだと思うのですが、この記事の中では29歳の女性が彼女の姉に子どもが産まれると思ったら、毎日のようにそれを感じた、といっているところがポイントだと思われます。つまり、これは心理学的な認知の誤りである可能性が高い、と。鳴るんじゃないか、鳴るんじゃないか、と思うと、鳴ったような気がしてしまう、という。

R25の記事中では「着信待ちが意識的な状態になる→ちょっとの刺激を着信と感じてしまう」という心理学の専門家の考えが登場しています。確かにその通り、先ほどの「子どもが産まれる」の例でも、それは見て取れます。

ただ、個人的には振動に対して注意を払っている(意識的になっている)ときだけこれを感じるのか、というと、ちょっと切り分けが必要な気がします。「振動→電話に出る」というのはオペラント条件付けでいうところの部分強化が行われている状態で、着信自体は変動間隔スケジュールなわけですから、部分強化のせいで敏感になってしまっているから反応が出やすい、という考えもある気がする。だから、実際にはなっていないにも関わらず、衣擦れ程度でも「あれっ?」って思ってしまうと。

というか、人によっては電話がかかってくること自体が「変動比率スケジュール」みたいになっちゃっている人もいて、そういう人はより敏感だったりして(心理学ギャグ=自分のことを思うと涙が出る話)。

なんにせよ、ちょっと興味深い話ではあります。ちなみに、phantom(ファントム)は幻影の意味。