cafe de psyche

椅子に座ろう(06年6月)


すっげえ久々のコラムであります。実に4ヶ月ぶり。うわー。書いてない間に大学院を修了し、ぽつぽつとIllustratorとかPhotoshopをいじりながら、DreamweaverとかMovable Typeをいじったりしている今日この頃。何にも前から変わってないじゃん(^^;) あ、でも、一日9時間もMovable Typeをいじることは前はなかったですな。脳内をスパークさせて生きています。

使っているパソコン事情も結構シフトしておりまして、日常的にいじっているマシンはMacということが多くなりました。実はこの文章もMacで書いたりしている(愛用のmi(みみかきエディット)で)。Web作りは実はWindowsでやった方がいいのですが(見ている人の9割はWindowsだから)、まあ、この辺は趣味の問題。MacBook Proを買っちゃうような人間なので、よしとしてください(今はtype Uが欲しい)。

さて。久々のネタは「椅子に座る」お話であります。何だそれ、という感じでありますが、日常、椅子に座ってお話しすることが多い現代日本人、その座り方というのは結構、面白いものなのである。

まず、相手と面と向かい合って座る状態を考えてみましょう。就職の面接とか、そういうシーンはこれですな。これって、想像以上に緊張する座り方です。そもそも、相手と向かい合うわけで、例えば、視線をそらして気持ちを切り替えるとか、そういうことができない。面と向かい合える、というのは、結構ハードルが高いもので、これでさっくりお話ができるということは、結構、親しい間柄のはずです。

続いて、相手と並んで座る。これもまた、結構ハードルの高い座り方です。ずいぶん前のコラムで「パーソナルスペース」という概念を書きましたが、電車なんかに乗っていると、ほんとにこのパーソナルスペースってのを実感できたりします。電車の席はまず端の席が埋まり、次に、真ん中が埋まり、その次に、真ん中と端の中央が埋まり、となることが多い。他人なので、あくまで距離を置くのですね。これをぶちこわすのがカップルで、親密なカップルはかなり接近している。隣同士に座れる時点で、結構すごいと考えましょう。しゃべりにくかったりするのを上回って、座るんだから。

ていうか、隣同士に並んで歩けるっても結構すごいことだったりします。それでしかも相手と歩調(歩くスピードとか)がシンクロしていれば、ビバ。私はだいたい相手と歩調が合いません。歩調を合わせてくれる人って素敵よね☆

次が、90度の位置に座る。これ、臨床心理をやっている人なら、カウンセリングとか勉強するときにお薦めされる座り方として教わるかも、です。相手が12時方向に座ったら、自分は3時方向に座るというやつですね。これは相手と適度な距離を取りつつ、しかも、目線を直接あわせなくてもいい、という非常に話がしやすい座り方。これから関係を築いていく、という感じです。

最後が、斜め向かいに座る。病院とか、こういう感じですよね(お医者さんが横に向いているデスクに向かっている関係上、そうなってしまう)。これはまあ、相手の側面を見ることになるわけで、結構特殊な座り方であります。親密さ云々というのは、互いの椅子がくるくる回転するやつ以外、考えられないと言ってよし。あえて選んでこういう座り方になった場合は、逆に、距離を置きたいのかも、という感じすらします。

このような座り方の差異というのは、結局、社会心理学的な問題です。つまり、相手との関係、そのときのシチュエーションとかが複雑に絡んでいる。人間はただ、座るんじゃないのです。

こういうことは仕事場の机の置き方とかでも言えます。普通の職場はデスクが一列に並び、そこに人が一人ずつ座っていく、という形が多いでしょう。でも、横一列に並ぶのが普通かという必ずしもそうではなくて、例えば、制作系とかになると、互いが向き合わないように机を置いたり、わざわざパーティションで区切ったりする。一人のスペースを確保することが能率のいい仕事につながる、という理屈です。そして、海外とかになると、これが極まっちゃって、一人一部屋になったりする。

こういうことを分析するのはくだらないようで意外とまじめに生かせます。どうやって暮らしやすい町づくりをするか、とかの基本は、人はどうやって椅子に座るか、とかにあると言っても過言ではないかもしれない。

ということで、梅雨時、じめじめする中、身の回りにあるものをちょっと見直してみましょう。そうすると、意外と面白いものがさっくり見つかるかもしれません。