cafe de psyche

HACK(06年1月)


お正月が終わったかと思えば、もう既に1月も真ん中。あと少しで1月が終わっちゃいますですよ!毎日を大切に生きないと!

さて、今回は立ち読みで見つけた面白い本をさくっとご紹介しちゃいましょう。コンピュータ関係では超有名なオライリー。そこから出た「MIND HACKS」が今回の題材でございます。

オライリーはプログラミングなんかの本を出しまくっている、ティム・オライリーという人がやってるコンピュータ業界では世界的に有名な出版社。そこが2004年末に出したのが、この「MIND HACKS」の原書です。オライリー慣れしている私なんかからすると、「どこがどうコンピュータ?どこがどうプログラミング?」とか思うくらい、めちゃくちゃ本気な心理学本でございまして、そう、教科書としても使えるほどクオリティの高い本なので、ちょっと戸惑いました。

ちなみに、ここに出てくる「HACK」という言葉。何かをぶっ壊したりする人のことを間違って「ハッカー」と呼んでしまった(ほんとは「クラッカー cracker」)せいで、なんだか悪い意味に使われてしまっていますが、本来は「うまい方法、裏技」という意味だったりします。ということで、この「MIND HACKS」ってのは心、頭の中を実験なんかのうまい方法で考えてみよう、という本だったりするわけです。

本を書いている人たちは、現役博士課程の学生だったり、研究を今やってますって人たち。教科書でよくある「権威ある人たちが本を書いてます」ってのではないので、小難しい本にはなっておりません。どっちかっていうと、めちゃくちゃ読みやすい。そして、オライリーから出た本だけあって、サイエンスな心理学がテーマにされているという、読む価値大量。ナイスな一冊です。

本文の一部がPDFの形でオライリーのサイトで見られるので、それをぜひチェックしてみてください。そして、その後、目次をよーく見てみよう。すると、心理学をかじった人なら興味を引かれること間違いなし。

「視覚系の仕組み」なんていうところから始まって、「平面に奥行きを見る」とか、「動かないものを動かす」なんていう話、そして、「無意識の注意」「オオカミ少年は信じてもらえない」「ストループ効果」「自分で自分をくすぐってもくすぐったくないのはなぜか」なんていう、結構広範にわたって心理学が取り扱われております。「扱い方は物が教えてくれる」なんていうタイトルでアフォーダンスまで登場するから本気。教科書に出てくる、あんなことこんなことがばしばしっと書かれております。

そして、それだけで留まらないのがコンピュータ業界のすごいところ。本の中で取り上げられている論文やプログラムへのリンクを全部用意してあるのです。つまり、本とパソコンを使うことで、充実の内容をゲットできる、と、こういう仕組み。普通の心理学の教科書ではこんなことはありませんね。

440ページというボリュームたっぷりの一冊です。これは大学とかで心理学を教えている先生とかにもいい本かもしれないなあ、教えるときとか実験のときとかに資料やマニュアル代わりとして使えるかもとか思った。

そんなわけで、毎日を大切に生きましょう!(そこに戻るのか)