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言 葉 で 心 理 統 計 ! 超 基 本 !


心理学を学ぶ人にとって「統計」は必須なのですが、これに躓く人は意外に多いです。というのも、それはやっぱり数式で考えてしまうからで、実は言葉で考えると、意外にもすっきりわかったりします。

ということで。

ここでは絶対必要な基本中の基本を言葉で見てみましょう。

[名義尺度]
名前、特性を表すもの。たとえば、背番号とか血液型とか。

[順序尺度]
順序にして大小を表すもの。例えば、かけっこのゴール順位、等級など。

[間隔尺度]
間隔を持ち、それを問題とする尺度。原点(またはゼロ)は無関係。たとえば、温度とか。

[比尺度]
原点を持ち、比率で表す尺度。例えば、キログラムとか、メートルとか。

[平均]
全体を代表する値の1つ。データの値を全部足して、データ数で割ったもの。

[偏差]
平均と得たデータとの間にあるズレのこと。だから、それぞれのデータ値と平均を引き算すれば出てくる。そしてまた、データ数が大きくなればなるほど、全体としてはゼロに近くなる。

[分散]
データのばらつき具合を表す指標。すべてのデータ値で出てくる偏差を足して、2乗して、データ数で割ったもの。

[標準偏差]
全体のばらつき具合を表す指標。分散の平方根を取った値。言い方を変えれば、2乗しなかった分散。

[標準誤差]
何回か同じ実験をやったとき、その都度得られる平均がどのくらいばらつくかを表す指標。分散をルートしたデータ数で割った値。

[中央値(メディアン)]
全体を代表する値の1つ。データを横に並べて、ちょうど真ん中に来る値。

[最頻値(モード)]
全体を代表する値の1つ。データの中で一番多く出てくる値。

[共分散]
分散を一般化したもの。というより、分散は自己との「共分散」といえる。偏差の積を合計して自由度(自由にとり得るデータの個数。一般にデータ数がnなら、その自由度は(n-1))で割ると出てくる。

[相関]
2つの変数の間に関係があるかないかのこと。

[相関係数]
相関を表す指標。-1以上1以下の値を取る。1に近ければ正の相関(比例関係)、-1に近ければ負の相関(反比例関係)となる。0は無相関(まったく関連なし)。ちなみに、心理統計ではr=.5以上で強い相関と見ることが多い。

[二項分布]
比率に関する分布のこと。

[正規分布]
平均に関する分布のこと。

2分布]
誤差の大きさの2乗に関する分布のこと。

[t分布]
標準正規分布(平均をゼロ、分散を1としたときの正規分布のこと)の代替品。より現実に近い分布となっている。

[F分布]
2つの分散が等しいかとか、そういう比較を比で行うために使われる分布のこと。

[対立仮説]
本来、採択したい仮説のこと。

[帰無仮説]
採択したい仮説の反対を指す(つまり、否定したい)仮説のこと。

[第一種の誤り]
帰無仮説が正しいのに、それを棄却する誤り(無罪を有罪にする感じ)。

[第二種の誤り]
帰無仮説が誤っているのに、それを採択する誤り(有罪を無罪にする感じ)。

[有意水準]
統計的に意味があるかどうかを決める際に使う基準。10%、5%、1%といった形の範囲で示される。棄却域、危険率も意味はまったく同じ。

[両側検定]
帰無仮説を単に否定するときに行う検定のこと。

[片側検定]
帰無仮説を有意水準の大きいほうだけ、または、小さいほうだけで否定するときに行う検定のこと。

[t検定]
母平均に関する検定。t分布を用いる。「対応のない」ものと「対応のある」ものの2つに分かれ、心理学で言えば、前者は統制群と実験群が別々の場合、後者は統制群と実験群が同じ場合、これに当たる。

2検定]
母分散に関する検定。χ2分布を用いる。

[F検定]
分散が等しいかどうか、母分散の比に関する検定。F分布を用いる。

[分散分析]
正確には「分散分析によるF検定」つまり、いくつかの群の平均が同じかどうか、平均値を分散によって比較する法。

[ノンパラメトリック統計学]
数字をあまり使わない統計学。χ2検定などがそれにあたり、名義尺度や順序尺度も統計的に扱えるのが特徴。少量データ向き。

[パラメトリック統計学]
大量のデータを処理するときに。名義尺度や順序尺度は扱えず、t検定やF検定を手段として用いる。検出力が高い。

[判別分析]
多変量解析の1つ。「ベイズ理論」というものを応用したもので、どの種に属するかを見る法。

[主成分分析]
多変量解析の1つ。複数の変数を要約するようなファクターを見つける。たとえば、英語、数学、国語、理科、社会という5つでやれば、第1主成分に文系、第2主成分に理系というのが出てくると思う。

[因子分析]
多変量解析の1つ。主成分分析の延長線上にある法で、言ってみれば逆の操作。相関を説明するファクターを見つける。

とりあえず、こういう言葉の意味だけでも知っておけば、統計を理解するのは簡単になると思います。

[2004.8.12追記]
言葉じゃなくて、絵のほうが理解が早い!って人は、「マンガでわかる統計学」(高橋信…著/トレンド・プロ…マンガ/オーム社)を読むといいかも。主成分分析、因子分析のような難しい話は載ってませんが、基本の基本は押さえることができると思います。身近な話題も多いし。